2008年12月12日

中東の歴史・イスラーム社会

■ 現在、世界のイスラーム人口は約12億人、地球人口の五分の一。イスラーム諸国会議機構の加盟・準加盟国数は60カ国。イスラーム世界は、今もEU・ロシア・アメリカなどでも、地球規模で拡大しています。宗教の普及速度ではイスラームがトップだそうです。ちなみに、意外にもイスラーム人口は、東南アジアが中東を凌いでいます。

■ イスラームの教えは、ユダヤ教・キリスト教成立後の、7世紀始めに成立。預言者ムハンマド(マホメット)がアッラー(唯一絶対の神)の啓示の書(コーラン・クルアーン)を受け、その教えを伝え始めたとされています。(預言者とは、神の言葉を預かる者で、予言者ではない)ユダヤ教・キリスト教・イスラームは共に、唯一の神を信じる一神教で、同地同根の兄弟宗教です。

■ コーランでは、神はそれまでに、何人もの預言者を送り、啓示の書を与えたとされています。その中では、ムーサ(モーゼ)に律法の書(旧約聖書)、イーサ(イエス)に福音の書(新約聖書)を与え、最終的に、最後の預言者であるムハンマドに、アラビア語で書かれたコーラン(最後の教え)を、与えたとされています。つまり、コーランでは、ユダヤ教のモーゼもキリスト教のイエスも、預言者の中の一人なのです。後に、ユダヤ教は、ユダヤ人だけの宗教としたため、普遍性を失い。キリスト教は、イエスを神の子として、神の教えを歪めた。これを正すために、改めて、最後の預言者ムハンマドに、神の啓示が下されたという事になります。

■ イスラーム教徒(ムスリム)は、イスラーム法(シャリーア)に従って、生きる人たちです。イスラーム法は、コーランとムハンマドの言行録(ハディース)を基準として、法学者によって問題の解釈がなされ、規則が決められます。つまり時代の変化に沿って、そのつど、問題の解釈を行うという事で、宗派・法学者により、時に、異なった解釈が出たりします。また、本来イスラーム法は、近代法よりも上位に有ると、考えられています。

■ 井筒俊彦「イスラーム文化」によれば。「イスラーム文化(学問・芸術・政治・法律等人間生活のすべての領域)は、コーランの解釈学的展開の諸相であり」また、「イスラームでは聖俗の区分は無く、人間存在のあらゆる局面(個人的・家庭的・社会的・民族的・国家的)をつうじて、コーランに表れる神の意志を実現するのが、イスラームの宗教生活である。」とあります。つまり、イスラーム教徒にとっては、日常生活のすべて、一生の間を、コーランにてらして生きる、という事のようです。

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